信州八ヶ岳は野辺山高原。ここに移り住んで、3年目を向かえようとしている。自転車との付合いはといえば、かれこれ30年程になる。よくもまぁ飽きずに続いているものだ。
元々カントリーライフへの憧れを持っていた我々の、理想の地としてたどり着いたこの場所も、やはり自転車抜きには語れない。
自然に囲まれたここ野辺山高原は高原野菜の産地としても有名で、国立宇宙観測所がある程、天体観測にも恵まれた高地である。標高約1400m。一年を通して生活し、そしてトレーニングをするには、この位の標高はベストだと思っている。これ以上になると走る場所は限られてくるし、第一生活するにも大変だ。ここには、標高2000m以上の道もあれば、アップダウン、平坦路と様々だし、年間降水量も都心の1/3で、夏だって扇風機もいらないくらいに涼しい。
無数に広がるトレイルや信号のほとんどない道路は、正に自転車パラダイス。空気を汚したり、騒音を立てる事もないこの乗り物は、自然に一番近い乗り物と言っても良いのではないだろうか。そして今僕達は、その自然の中で暮らしている。
元々はツーリングから始まったその付き合い。興味半分で出てみたロードレースをきっかけに、レースの世界に足を踏み入れることになり、それからというもの、常に生活は自転車を中心に動いていると言っても過言ではない。
何故、そうも自転車の魅力に取付かれたのであろうか?自転車は楽しい。でも、そう簡単に「楽しい」という言葉だけでは表現しきれない何かがあるのだと思う。レースをやっていた頃は、「楽しい」という事をあまり意識した事はなかった。何故なら、レースは勝つためもやるものであって、楽しい必要がなかったからだ。
むしろ「楽しい=充実感、達成感」と言う感じでもあって、苦しみを味わい、自分を追い込めば追い込むほど楽しいと言うような異常な状況を招く事でもあり、厳しさがあってこそ満足感を味わえる訳で、それが楽しさでもあった。
楽しいと言う表現には色々な要素が含まれている。ひたすら世界を目指していた頃とは、自転車と付合うスタンスは、少しずつ変わってきている。ただし、相変わらず「楽しい」事には変わりがない。
夏には夏の、秋には秋の空の色。風の音や土の匂い。草花や森林達の吐息を肌で感じながら自転車で走る気分は爽快そのもの。ここでペンションを始め、既に大勢の方々が、自転車の楽しみを求めて訪れてくれている。
人それぞれ、求めてくる楽しみ方は様々。そんな人達の思いでの一日が作れるように、僕達も日々楽しみつづけている。 |